アトピー性皮膚炎専用の世界初生物薬、デュピクセントが認可されてから1年半(日本は8ヶ月ほど)ぐらい経ちます。治験の頃から投与している方はもう5年ぐらいになりますが、市場に出るともっと沢山の方達が投与するため、新たなデータが出ます。
一番の副作用が結膜炎であり、これは眼科からの点眼薬などで大半は治まっているようです。後、日本では自宅投与を行っている方がほとんどいないため、投与の期間をずらして打ったりする事などもまだあまりデータ無いようです。
我々の患者様は状態が安定すると3週間に1回、もしくは1ヶ月に1回の投与ペースで安定する事も可能です。
良く聞く問題が頭皮・顔の炎症がまだ治まらないと言うケースです。これには複数の原因が考えられます:
顔はトリガーの接触(悪化の要因)が多い場所でもあり、特にステロイドやプロトピックを頻繁に使っていた方は、皮膚がとても敏感になり、すぐに赤くなったりするケースを良く診ます。癖で顔を良く触ったり、空気中アレルギーの接触、お化粧、汗、枕などさまざまな要因があります。
最近カナダのデュピクセント投与中患者の研究成果では、顔の炎症が治まらない方達はシャンプーの成分に反応を起こす可能性が高く、シャンプーに入っている内容成分でパッチテストを行いました。その結果、一番多くの反応を示したのがシャンプー成分でした。難しい所が、シャンプーは製造会社によりかなり成分が異なるため、内容成分のリストも長く、安全なタイプを探すのに苦戦します。更に、接触性トリガーは時間差で炎症が出る場合もあるので、すぐにトリガーだと判断するのも難しくなります。
ドクターマセソンが安全なシャンプーのリストを作っていますが、全員に100%安全なシャンプーと言うのは残念ながら無いので、多くの患者様が安全に使えているタイプをお勧めしています。
この結果、デュピクセントは顔への効果が弱い、と言う認識よりも、顔へのトリガーを駆除出来ていないため、生物薬の効果を貫いて炎症が出ている事になります。
現在の不満が、適切なケアや教育をされていない患者様がデュピクセントだけ使って、顔や頭皮の炎症が治まらないので結局ストロング級のステロイドやプロトピックを顔にずっと使う事になっているようです。
アトピーの治療は薬一本勝負では無いので、デュピクセントと適切なケアを追加すると、更にコスパが上がると思います。
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