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2019年11月13日水曜日

アトピー性皮膚炎に対する新薬レース

アトピーの新薬治験が色々と同時進行で進んでいます。製薬会社によって方針が違いますが、大まかに分けると:
飲み薬系 ピル・口径剤 JAK1阻害剤
生物薬系 注射投与 IL13、IL4、IL31R 阻害剤

現時点でのアトピー性皮膚炎に対する効力を順番にすると:
ピル・抗経済系
一位 ウパダシチニブ JAK1阻害剤 Abbvie社
二位 アブロシチニブ JAK1阻害剤 Pfizer社
三位 バリシニチニブ JAK1阻害剤 Lilly社

生物薬系
一位 レブリキズマブ、IL13阻害剤 Dermira社
二位 デュピルマブ(デュピクセント)、IL4RとIL13阻害剤 Regeneron/Sonofi社
三位 トラロキヌマブ、IL13阻害剤 Leo社
四位 ネモリズマブ、IL31R阻害剤 Galderma社

両方を混ぜると:
一位 ウパダシチニブ JAK1阻害剤 Abbvie社
二位(同点) アブロシチニブ JAK1阻害剤 Pfizer社
ニ位(同点) レブリキズマブ、IL13阻害剤 Dermira社

三位 デュピルマブ(デュピクセント)、IL4RとIL13阻害剤 Regeneron/Sonofi社
四位 トラロキヌマブ、IL13阻害剤 Leo社
五位 バリシニチニブ JAK1阻害剤 Lilly社
六位 ネモリズマブ、IL31R阻害剤 Galderma社 

なお、この順位リストは現段階の治験成果であり、今後も研究・治験が進むにつれ順位が変わる可能性があります。

ドクターマセソンのオフィスで行っていた治験で私が横で見てきた経験上では:
2012年ーデュピルマブ治験Phase2 6名 、其の内5名が実薬に当たり、1名は偽薬。偽薬と当たった人との経過が全然違う。アレルギー症状も改善(目のかゆみ・鼻水・鼻づまり)。目の赤み・結膜炎副作用が2名。症状の改善スピードは少し遅いが、確実にどんどん綺麗になっていき、皮膚の触った感じが全然違う(もっと厚く、”普通の皮膚”のような触り心地)。このままオープンラベルに全員参加(無料でお薬を貰える期間、~2から3年ほど)。

2018年ーダーミラ社のレブリキズマブ治験Phase2 1名 、実薬に当たり、とても困難だった患者の状態が安定する。デュピのように時間は少し掛かるが確実に安定していく。その後日本帰国後、数か月のギャップが空くがデュピをスタート。楽にはなるが、レブリキズマブの方が良かったと感想を聞く。

2018年ーファイザー社のJAK1治験Phase2 1名 、実薬に当たり、とても酷い状態から早く大幅に改善。ただし、頭痛や吐き気の副作用があり、お薬に慣れるまでは投与タイミングに工夫をしたり、問題はあったが調節で克服。私も何百人の重症アトピー患者を見てきたが、このJAK1の効力とスピードには驚きました。副作用は好ましくないが、投与タイミングや食べ物と内服したりし、なんとかなるようです。患者は小作りをする可能性があり、オープンラベル破棄し、数か月はキープしていたがやはり炎症が少しずつ戻り、現在はアレルギー治療を再開する。

全体的な感想:
どの新薬もスキンケア・感染対処と予防・トリガー駆除・生活環境を整える事が必要なので、魔法の特効薬ではないと感じました。確かに疾患のベースラインを下げる事により、上記のケアが楽にはなり、滑り止めとして多少上記が怠っていても患者によっては炎症を出さずにキープする事は可能だが、デュピとAbbvieのJAK1を使っている方で炎症が貫いて出てきた方達もいます。
ソノフィーが気になっていた日本でのデュピに対する不満や治療成功例、EASIなどの数値がデュピ認可されている国で一番低かったので、患者への教育と感染対処などが行われていないケースが通常りも多いのと人気のある東洋治療法と民間療法などでかなり混乱されているケースも多いのが原因になっている可能性があります。

やはり一番の問題が金銭的なもので、日本の国民保険システムを利用して月~5万円だと聞きます。他の申請などするとそこからさらにコストを下げていく事も可能のようです。
ネックが皮膚科に通う事になり、自宅投与を認めるところはクリニックによってポリシーが違うようです。日本の皮膚科へ長い間行っていない方(民間療法マーチー皮膚科への信頼を失いさまざまな民間療法・漢方を試す)は標準治療をある程度行ってらデュピを処方されるケースが多いようです。我々の患者の場合、ドクターマセソンの治療から帰国後の経過観察などでレポートを作成し、日本でデュピをもらっています。

お薬が認可され、その後12~13年後ぐらいにジェネリックが出来るので、コストが下がれば、更に多くの患者が助かると思います。

今できる事は適切なケアと治療と遭遇し、それで治ればOKですし、それでも後もう少し安定が必要な方にとってデュピという武器があります。我々の患者でデュピが必要になっている方は3%ぐらいです。





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