OMC

2017年3月29日水曜日

アトピー新薬ドゥプリマブ(Dupilumab)、アメリカで今日FDAから認可がおりました!!





リジェネロン正規プレスリリース(英語)

医師達へのお薬の使い方:説明書

抗IL4+IL13のドゥプリマブ正式名がドゥピゼント(Dupixent)になり、今日、3月28日2017年パシフィックタイム9時AMにリジェネロン製薬会社から、アメリカ薬事法FDAが許可したと言う発表が出ました!!

やっと出ました。待ち遠しい4年間でしたが、これほどまで安全性が高く、長期に病気をコントロールできるお薬で、副作用がほぼゼロの生物薬がアトピー性皮膚炎に対して世界初めてのお薬がアメリカで認可されました。

定価価格:1年分$37,000.00USD(クーポンやリベート無しの値段で

これは本当に苦しんでいるアトピー性皮膚炎の患者様にとって大きな第一ステップです。新薬と世界初のお薬はコストがあまりにも高いので全員には使えないのがネックです。但し、特許が切れると(13年)ジェネリックの会社が低価格で開発し、値崩れが始まります。このお薬が成功すると他の製薬会社も作り始め、そこでも値崩れがあります。リジェネロンは現在独占で売る事が出来るので、コストが高くなっています。

アメリカではリベートやクーポンなどもあり、製薬会社から保険に入っていない方やカバーされない人達にディスカウントするプログラムもあります。

Dupixent My Wayと言う、保険に入っていない方達ようにコストを出来るだけ下げ、さまざまなプランも作っているようです。これらはまだ実際どのようになるかまだ誰も判りません。

我々オレゴンメディカルコーディネーターも日本の患者様へ、世界初のアトピー性皮膚炎に対する生物薬治療プランがもうすぐ出来ます。お薬の購入は今週末から可能になるようです。

ご興味のある患者様は:
info@omcllc.org
にてご連絡下さい。治療プランなどご説明いたします。


2017年3月28日火曜日

ネモリズマブ:抗IL31生物薬、アメリカでの治験成果と評価は。。。

ストレートに言うと良くありません。治験そのもののステップを簡単に説明します。

ネモリズマブはPhase2からPhase3に移る段階ですが、治験と言うのは大まかに言うと:

Phase1 - 人間への安全性、安全性、安全性、効果も見る
これをクリアすると

Phase2 - お薬の効果、プラセボ(偽薬)と本物をランダムに投与し効果を見る。この時に学会への発表などあったりし、データを見せます。経済的にも重要な事です(株価)。
これをクリアし、製薬会社の判断で

Phase3 - 治験の中でもっとも費用が高く、期間も大体一番長い。ここまで行くとなんとしてでも市場に出したい所。お薬の投与量や長期間データ収集。この辺でオープンラベルと言い、無料で製薬会社からお薬を貰う代わりに長期間安全性や効果のデータも収集する。

日本のCHUXXI製薬抗IL31生物薬、ネモリズマブはアメリカでも治験を行われています。私は医療コーディネーターとして、治験クリニックを良く知っています。治験クリニックも他のクリニックと良く情報交換します。治験コーディネーター会社の質やお薬の効果など、みんな興味深い事です。

抗IL31のPhase2治験が終了してきているので、大体良いお薬なら同じクリニックでそのままPhase3を行います(すでに製薬会社や治験コーディネーターとの関係も成り立っており、看護師もトレーニングを受けているのでスムーズ)。あまり好ましい結果がPhase2で出ておらず、治験を行っていたクリニックがPhase3を放棄する所が増えて行っています。製薬会社から好まれている治験クリニックは依頼が多いのでどの治験を行うか選べるようになります。
噂が広まり、これらのハイレベルな治験クリニックはPhase3を拒否しても他のもっと効果の良い治験を選べる事になります。Phase3から始めるクリニックは実際Phase2を行っていないので、他のクリニックからの情報なども使います。Phase2を行っていた所はすでにどのような効果があったか判るので、効果が良くないと継続しません。

新しい治験サイトや人気のない所はどんな治験でも受け入れてくれるでしょう。お薬の効果が良くても悪くても治験を行えば利益になるので、そういうクリニックもあります。やはり医者として良いお薬の治験だけを行いたいクリニックも沢山あります。

抗IL31生物薬はPhase3のデータが出ないと100%の答えは出ませんが、Phase2の結果はあまり良くないです。治験でお薬の効果が良くないと言うのは、製薬会社の世界では良くある事です(Gentechの抗IL13も喘息を大きくターゲットしていたが、あまり良くない成果が出ている)。プロトピックが日本でもアトピーの救世主のように言われていた通り、もし治験データが良くないと新しくお薬を開発し直す方が無理やり市場に出すよりも合理的だと思います。

Phase2を行っていたクリニックはPhase3放棄をするのは良くない事です。

リジェネロンのドゥプリマブ抗IL4+IL13はやはり各段に好ましい治験データの結果と医師会からの注目と期待されています。3月29日が公認日予定されているので、とても楽しみに待っています。


2017年3月24日金曜日

アトピー性皮膚炎、2017年4月8日・アメリカ治療ワークショップ

アトピーアソシエイション・ジャパンの明石郁夫氏が春のワークショップを開催致します。

会場:茅ヶ崎勤労市民会館 B会議室 http://www.chigasaki-kinro.jp
■参加費:おひとり 8,640円            :お連れのご家族 4,320円(半額)

サインアップはこちら:
http://a-association.com/538

グループでアトピー性皮膚炎の治療法やアメリカの最新医療情報に対する交流会です。私もアメリカオフィスとしてビデオSKYPEで出演する事も多いです。時間が合えばドクターマセソンもビデオSKYPEで出演して頂ける事もあります!


2017年3月18日土曜日

OHSU不妊治療専門医・ドクターリー、東京セミナー2017年

Dr. David M. Lee M.D.、人工授精・不妊治療OHSU代表専門医来日!
東京セミナー、個人面談
4月29日(土)、4月30日(日)2017年

講演会の内容は:
アメリカでの体外受精・人工授精の説明、メリット
染色体検査・遺伝子検査など(アメリカの法律では合法)
OHSU大学病院の説明
人工授精の成功率を上げるために行う治療
代理出産

個人面談は4月30日(日)に予約制度で行っております。約30分ほど個人のケースをコンサルティング致します。
これらの情報がお役に立つことを願っております。

2017年3月11日土曜日

アメリカでの人工関節手術(股関節・膝・肩など)

Multnomah Orthopedic Clinic
モルトノーマ整形外科クリニック
ポートランド・オレゴン州

ドクター グスタフ・フィッシャーM.D.
米国整形外科医アカデミー
アメリカ股関節協会
オレゴン整形外科医協会
オレゴン医師会

ベビーブーマー世代の人達はその前の世代の人と比べると裕福な時代に育っています。

株の大暴落や第一次・第二次世界戦争、伝染病など大変な時期に生きていた方は質素に育ってる人が多いです。
そのため、関節の痛みや壊死、骨粗しょう症などは年を取ると”それは当たり前で年だから仕方無い”、もしくは”もう年だからがまんする”の考えが多かったようです。

次の世代になると景気もだいぶ良くなり、黄金時代の80年代には丁度30代後半、40代でとても良い時代がありました。ここで裕福な環境に慣れる事により、”歳だからがまんしなさい”がとても嫌な世代が今60代~70代になってきています。

それによって人工関節手術のニーズがとても増えて来ています(アメリカでもニーズが上昇)。かばって歩くのも嫌で、押し車なんて絶対嫌、痛みも我慢したくない人が増え、そのために人口関節の技術や研究が大幅に進みました(ニーズ=研究に掛けるお金が増える=新しい技術が生まれる)。

寿命も長くなっている事もあり、上手に歩けなく、痛い生活を送るのがもっと長くなります。昔の人工関節では~15年ぐらいしか持たない物が主流でしたが、最新のパーツですと30年は持つと言われています。素材のクォリティ、デザイン、手術法など、すべて進化してきています。

人工股関節の場合、Superior切開と言い、腰後ろ横ぐらいに斜めに切り、筋肉を切らない事により痛みと回復が早くなります(昔は通称、泥棒方法とドクター達は言い上手な人が上手く筋肉の間をすり抜けて手術を行う裏技)。手術中に問題が無ければ23時間で退院するのが主流で、家でリハビリスペシャリストの方が来て、1週間押し車でのトレーニング、1週間杖でのトレーニング、3週目では何も補助なしで自分で歩けるトレーニングをして4週間目には飛行機を乗れるぐらいなっています(3週目で帰国する方も多いですが、年齢などにもよります)。


人工関節のパーツはStryker社の人工股関節やTornier社の人工肩関節などを使っています。これらの会社から一番新しい、最先端のパーツを保険会社が渋っても強く交渉して安いパーツを使わない方針にしています。


(Stryker アコレイドII、セラミック・セラミックカップ、ポリウレタン変動式、セメント剤無し、自然骨浸透治癒タイプ)


       


(Tornier シンプリシティ、超小型根っこにより骨を最小限に削る。~60歳未満対象)

Multnomah Orthopedic Clinic(モルトノーマ・整形外科クリニック)では、3名のスペシャリストドクターがパートナーで手術や治療を行っています。それぞれ部門があり、肩・肘・手首のスペシャリスト、股関節・膝・足首のスペシャリストと小児科スペシャリストで分かれています。全員同年代ぐらいのチームで”院長さん”的な存在がいないため、新しい技術やサービスなどがかなりモダンで充実されています。

(ドクターシプリーM.D.、ドクターメズニールM.D.、ドクターフィッシャーM.D.)

コンシェルジュサービスなどもあり、ドクター自身が滞在施設へ尋ねたり、個人の携帯電話番号も貰いいつでも連絡出来るようになっています。海外の方は不安になる気持ちが現地の人よりも高いと判断し、このサービスは外国人のみにあるプログラムです。

もっと歳をとって、長い間我慢してから手術を行う必要はありません。15年しか持たないパーツですと50代や60代で行うと又手術が大変になる可能性があり、30年持つ最新のパーツで手術を1回で終わらせる方が負担が少なく、合理的だと思っています。

これらの理由で日本のプロスポーツ選手やセレブなどがなぜ昔からアメリカで人工関節手術を行っていたかと言う事が判ります。手術後のケアやリハビリ、”がまんしなくていいですよ”と言う姿勢がカルチャーの違いで大切にケアされている、と患者様が感じるようです。