OMC

2018年10月31日水曜日

アメリカ体外受精、とても難しいケースの成功例!

OHSUドクターリーの体外受精プログラムで、とても困難なケースの方が先週妊娠に成功しました。

女性37歳
FSH  <10
AMH >1
AFC 左4個 右3個
食塩水ソノグラム結果:子宮は正常・ポリープ無し

自然妊娠で一人子供を産んでいるが、不妊治療を始める前にHSG検査を行った後、妊娠する。

上記がこの患者様のざっとした内容です。

FSHのホルモンが10以上と言うのは、脳がそれだけホルモンを沢山出さないと卵巣が上手く働かないと言う事なので、機能が年齢にしてはかなり低下しています。

AMHが1以下と言うのは卵巣で成長する卵子の数が少なくなっている事を示しています。

AFCは超音波を使って、肉眼で卵胞・卵子の数を数えます。左卵巣・右卵巣と両方数え、ホルモン治療で卵子がどれぐらい育つか目安が出来ます。この年齢で左4個、右3個はとても少ない方になります。

HSG検査後に妊娠は、たまにある事で、造影剤を卵管に流すと、卵管の詰まりが解消する場合もあり、これで次の排卵時に妊娠する時もあります。

ここでクリニックによってかなり方針が変わります。
ビジネス主体で出来るだけ数をこなすクリニックであれば、失敗の確率がとても高く、技術が低くてもこのまま行います。成功率が5%になってくると、本来は倫理的な問題もあります。

アカデミック系のクリニックで成功率・統計データを重視するクリニックであれば、ドナー卵子を使わないと治療を断る所もあります。失敗が多いとかなりクリニックの成功率データに響きます。

ドクターリーは、統計で答えるとOHSUの技術と遺伝子検査を行っても、この患者様は成功率~15%ぐらいだと言われました。但し体はとても健康で、もしかすると採卵も2回ぐらいは行わないといけないかも知れませんが、私の記録ではFSH14で妊娠を成功させたことがあるので、私は自信があります、と言われ治療に決心しました。

採卵から胚盤胞成長、自然淘汰され受精卵遺伝子検査が出来たのは二つでした。その中、一つは染色体異常があり、冷凍保存に残されたのは受精卵一つとなりました。

クオリティの高い受精卵だったので、少しはホッとしましたが、移植のチャンスは1回しかありません。

ドクターリーを信じて、一つの受精卵だけで2回目の採卵はしませんでした。

タイミングを計って、着床率を最大限まで上げるために子宮の壁を厚くするホルモン剤とプロジェストロン投与で母体を準備します。細かく壁の厚みを測りながら、プロジェストロン・エストラジオールを測り、すべて数値と厚みがパーフェクトになった時点で、移植するタイミングが決まります。

移植の日は1時間前に水を600mlぐらい飲み、膀胱を膨らまし、子宮を移植する最高の位置にします。場合によっては少し尿を出したり、もう少し水を飲んだり、指示があります。解凍された受精卵はラボの窓から、受精卵が入ったカセーテルをドクターに渡し、超音波で見ながら移植します。移植は厚くなった子宮の壁に直接入れます。

この時に超音波スクリーンが横にあるので、みんなで技法が見えます。正直、超音波スクリーンは素人が見てもあまり判らない場合がほとんどなので、ドクター達が”ここですよ!”と言っても、実は私は横で判ったふりをしていても、実際受精卵は今まで見えませんでした。但し今回はこの仕事初、初めて受精卵が子宮の壁に入るのが見えました!本当に小さな真珠みたいな物がかすかに見えただけでもとても嬉しく、患者様も涙をこらえれなかったです。

2週間後の妊娠検査もドキドキしながら結果を待ち、1回目の結果がエストラジオール600ぐらいでまずは妊娠!2日後のエストラジオールが1800台でこれも妊娠している証拠となりました。

後は超音波検査で心音を測り、ホルモン剤・プロジェストロン注射を妊娠3ヶ月まで継続すると一安心です。

採卵1回で、まだ失敗例がない事に関してOHSU・ドクターリーのチームに感謝しております。患者様もきちんとドクターの指示に従い、不安な気持ちもありながら、我々を信じて治療を進める事も成功に繋がっていると感じています。