OMC

2018年3月31日土曜日

デュピクセント・トラロキヌマブ・レブリキズマブ、アトピー専用生物薬

インターロイキン4と13、これらがアトピーの原因になっている因子と大手の製薬会社と研究者たちが信じています。

上記の因子を中和させる事により、中度から重度のアトピー性皮膚炎をコントロール出来る研究成果が出ています。
治験と研究データは、各自製薬会社のダブルブラインド(偽薬入り)の結果により、第1、第2、第3治験と、すべて第三者が行う治験で数千人のアトピー患者からのデータがあります。

先陣を切ったのがリジェネロン・ソノフィーのデュピクセント(IL4+IL13)であり、その次にレオ社のトラロキヌマブ(IL13)、そしてダーミラ社のレブリキズマブ(IL13)。IL4は喘息系の因子だと判って来ています。

生物薬はリウマチや乾癬などの治療に使われており、アトピー性皮膚炎に対するモノクローン抗体は初めてなので、とても興味深くみんな待っています。治験に参加した方達はすでに効果を実感されております。アメリカでは去年の4月に認可が下り、市場に出ています。

安全性・効力・長期間使える事や、患者自信が家で注射投与出来る生物薬なので、メリットは沢山あります。ターゲットした因子を止めるだけの効果があるため、安全性に優れているのと、他の副作用がほとんどないメリットもあります。
ステロイドやサイクロスポリン(ネオーラル)とは全く作用が違うため、生物薬投与中にレスキューとして使う事も可能です。

これらの生物薬はアトピーを完全に治療するか、かなり軽症のアトピーまでベースラインを上げる事が出来るので、その上から弱いステロイド外用剤や定期的に内服薬で簡単に抑える事も出来ます。現に我々の患者の中でサイクロスポリンとデュピクセント両方使っている方もいますが、サイクロスポリンの投与量を大幅に下げる事が出来ました。

ドクターマセソンの患者はアトピー治療の基礎知識がすでに高いため、日常のケアやトリガー駆除、アレルギー治療や感染予防など行う事により、生物薬の効力が更に上がります。重症アトピーの患者が生物薬だけを打って、リバウンドや感染などすべて対処出来ないため、適切なケアと知識を同時に始める事が治療の成功に繋がります。

生物薬は治療の”道具”であり、実際の治療では無いと言う事をお忘れないで下さい。




2018年3月7日水曜日

スプリット体外受精・IVF OHSU

IVF体外受精の大きなメリットは冷凍保存が出来ると言う事です。我々の体は歳を取る事により、さまざまな機能が低下していき、それを止める事は出来ません。アンチエイジングのビジネスがとても盛んなのも、若さや健康なようになりたいと言う願望でフェイスリフトや星の数ほどあるクリームやローション、セラピーからマッサージ、誤魔化し系の物がとても多いです。これは仕方のない事で、まだ現在の技術では本当のアンチエイジングは無いからです。

卵子や受精卵を冷凍保存すると言う事は、其の時に取り出した年齢の卵子の時が止まると言う事です。さまざまな理由で卵子や受精卵を凍結するメリットがあります。

1.染色体異常のリスクが少ない年齢(36以下)で卵子を凍結させると、妊娠成功率と胎児へのリスクが大幅に減る。

2.凍結技術がここ3~4年でかなり進歩されている。フレッシュな受精卵移植(凍結させずに母体へ移植する方法)と凍結・解凍して移植する受精卵移植の成功率を比べると、凍結・解凍方法での移植の方が成功率が高い。なぜなら遺伝子検査を行うのには必ず凍結させる必要があるので、当然遺伝子検査を行い、染色体異常が無い受精卵を選ぶ事になるので成功率が大幅に上がってしまいます。OHSUでは瞬時にして凍結させ、不純物や霜がほぼゼロに等しい凍結方法をグラッシングと言います(ガラスのように)。これは解凍方法も複雑なので、特定のクリニックしか出来ません。OHSUで開発された方法で、技術と器具が充実しているクリニックのみが出来ます。

3.1に近い答えですが、36歳前にスプリット凍結が出来る。スプリットとは、半分の卵子を凍結し、半分の卵子を受精させる事により、将来パートナーが出来なくても凍結された受精卵で妊娠するか、パートナーが見つかれば、卵子とパートナーの精子を使うなど、更にオプションが広がります。これは採卵の数が多く無ければ出来ないので(卵子と受精卵の数がトータルでは少なくなるので)、卵子が多い方と高技術のクリニックだけしか出来ません。

本当のアンチエイジングは凍結している状態なので、ご自分の年齢で採卵した卵子は永遠に若いまま、移植するまで待っています。
移植する時の年齢は、高齢でも行えるメリットがあるので、妊娠したい時の時期や年齢などすべて決める事が出来るのも体外受精の利点です。(注意:46歳以上になると、高リスク妊娠と判断されるので、検査項目などは増えます。妊娠中に糖尿や高血圧になる可能性も上がります)。