OMC

2015年8月28日金曜日

7月~8月チーム、渡米アトピー治療チーム終了

女性3名のアトピー渡米治療が無事終了しました。お疲れ様でした。

お二人は日本へ直接帰国し、お一人はLAで1ヵ月のバカンスを楽しんでから帰国するようです。それぞれ、違ったアトピーのパターンを持っていたので今回も充実した治療チームでした。

(左から:治験患者A,母、私、嫁、患者A,B、以前のケアホーム担当の方、老後ケアー利用者の方、治験患者B,患者C)
(2名の方はプライバシーリクエストのため、修正されております)

最後の週は恒例のさよならパーティを行って楽しい時間を過ごしました。残念ながらお酒を飲む方がいなかったので、オレゴン産のピノ・ノアールワインは飲めなかったですが、シャンパンを一杯だけ飲んだ方がおられましたが痒くならなかったようです。ディナーは”アメリカ料理”が食べたいとリクエストを受けたので、骨付きリブ・ビーフトライティップロースト・マッシュポテト・グレービー・根キャベツ・ミニペッパー・プレッゼルディナーロール・シーザーサラダ、デザートにコストコのフルーツクリームケーキを用意しました。アメリカはオーブンが大きいので骨付きリブを家で食べる事は日本ではあまりないようです。





”生活の質を上げる事”が我々のゴールです。アトピーの遺伝子を取り除く技術はまだ開発されていないですが、他から見てもアトピーとは判らない、お薬も最小限に使って、痒みもコントロールし、普通の生活に戻る事が治療成功だと私は信じています。こちらでは”完治”とは言いませんが、アトピーマネージメント、コントロールをすると言います。魔法では無いので、努力も必要ですがチームワークを使って病気を維持する事は出来ます。

別件ですが、日本支部のAAJ、明石郁夫さんがアトピー治療のワークショップを8月29日(土)に開催するようです。私もビデオSKYPEで参加出来れば、少しお話しをする予定です(時差の都合により難しい時があります)。まだ空きがあるようなので、ご興味のある方は:ejapan@aaj.sakura.ne.jp にご連絡下さい。

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2015年8月22日土曜日

アメリカ医療の根本的な方針

私は5歳の頃にアメリカへ移住したので、日本の病院に訪れた事がありません。日本のお医者様がアメリカへ患者として渡米されたケースが8件ほどあります。内科・外科医・癌・白血病専門医などさまざま医師達が我々の治療プログラムに参加されております。

1ヵ月や2ヵ月の治療になると、色々とお話を聞けます。興味深い裏話や日本医療の現状なども、私自身の勉強となるのでとても深い会話になっていきます。アメリカの医師達も日本の医療なども興味あるので色々と聞かれます。


80年代にドクターベイカーが日本へレクチャー・見学を行うのに京都へお伺いしたようです。バブリーな頃でもあり、日本ではとても良い体験をされたようです。奥さんもお医者様なので(皮膚科専門医・クライン ベイカー)一緒に行ったようです。観光やショッピングの時に着物屋さんやお土産屋に行った時、”これいいね”とか言った物はすべて次の日にはホテルの部屋へ届けられていたようです。ドクターベイカーが”車とかに指挿したらいけませんよ、アメリカに戻って来たら新しい車が家の前に置いてあるかも知れません!”とジョークを言っていました。


日本での見学では、一番驚いた光景が患者の数だったようです。軍隊的なシステムで、はい次、はい次、とものすごい数の患者をこなしていくのが印象深かったようです。”診察時間はこれだけで良いの?”とお聞きしていたようです。2分から3分が平均の診察時間で、場合によっては皮膚を触らず、そのままお薬を処方するだけのケースもあったようです。”皮膚を触る”と言うのは皮膚科の診断テクニックの一つなのでとても重要な事です。乾燥度・皮膚の肌触り・性質など見ます。


日本の医師達も、事前の問診票や20分~30分の診察などは不可能だと言っていました。国民保健制度である限り、沢山の患者を診ないと成り立たないので1分から3分になってしまう、点数内での治療しか行えない(混合治療として制度は変わって来ているようですが)、新しいお薬の存在を知っていても使えない、など医者自身のコンプレクッスが生じるようです。その理由で自由診療として開業する方もおられました。



アメリカで我々が協調するのは患者への教育と”予防”治療です。こちらの治療費が高額なのは国民保健制度が弱いので(オバマケアー)現地の患者などは”病院への通院や入院日数を出来るだけ最小限にするための予防・教育”を重視します。Preventative Medicineと言います。

例として、アトピー治療での”予防治療”は患者自身が出来るスキンケアー、お薬をレスキュー・道具として使用し、病気に対する但し知識を得て、悪化の要因を避けるか治療する事になります。



予防範囲から出てしまった場合に治療が必要となるので、ドクターのアドバイス・お薬処方などによって予防範囲にまた戻すようにします。これらの方針によって、患者が病気を自分でコントロール出来るようになり、すべて医者任せでは無くなると言う事です。教育と正しい知識を与えるのがとても重要になります。

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2015年8月15日土曜日

7月チーム、アトピー性皮膚炎治療の経過

渡米治療を行われている患者5人中、現在3名が1ヵ月プランのアトピー治療を行われています。それぞれ過去歴がかなり異なるので、各自の治療方針が変わってきました。今週で治療スタートから3週間目で私とドクターマセソンの視点からでは経過がとても良いです。

ケーススタディー
患者A

過去に40種類以上の塗り薬・内服薬・漢方など使用。皮膚表面積80%以上の炎症。
渡米前にステロイド外用剤を長期間使っていなかったのでリバウンドのリスクは無し。

現在の痒み・炎症はほとんど抑えらており、ドクターから”炎症が出るぐらい汗や運動をして、現在の安定度を試して下さい、皮膚をチャレンジして下さい”と指示を受けています。これによって、日本の暑い夏の環境でもアトピーをコントロールする術を覚えます。少し炎症がでてもパニックにならないように、対処法をマスターするためです。

アレルギーイミュノセラピーも無事最高濃度まで達して、今後の治療は日本で継続する予定です。

麦粒腫(瞼の中や目の周りの出来物)と結膜炎はアトピー性皮膚炎と間接的に関連性があると目のスペシャリストドクターギャッティーから教わる。アトピーを患っている方達は黄色ブドウ球菌の感染を起こしやすいので麦粒腫もまつ毛の毛穴から皮脂が出る部分にバクテリアが侵入し、感染を起こし、麦粒腫になるようです。暖かいタオルで瞼を当てて、1週間に2回、まつ毛用シャンプーで洗浄する治療法を教わりました。日本で眼科を何件も回ったようですが、この指示は初めて聞いたようです。すべて点眼薬のみの治療方で、治っては出ての繰り返しだったようです。

目の症状とアトピーを抑えれて一石二鳥でした。

患者B

過去歴を辿ると良く見るケースで、子供の頃から思春期前まではステロイド軟膏のみで抑えられていたが、思春期から成人の時期にどんどん悪化していき、社会人の段階で”脱ステ”を行い、リバウンドを経験する。

塗り薬は強くなる一方で、効かなくなるのを待ち、止めた時にリバウンドを起こし状態がかなり悪化する。その後、大体のケースでは漢方や民間療法に変える方が多いですが、この方は少しだけステロイドなど部位に塗っていたようです。

ご家族もアレルギー、アトピーなど患っている方達もおり、患者本人も喘息を持っていたようです。アトピー・アレルギー・喘息は遺伝性が強いようなので、アンハッピーセットで貰う方が多いです。更に、お互いの病気が関連性が強く、悪化させるサイクルを作ります。

過去にニキビの症状が酷く、アトピー性皮膚炎を患っていても皮脂が良くでる体質と毛穴が詰まりやすいようなので、ニキビ用治療のアキュテインを処方されました。スキンケアを行うのが重要ですが、皮膚が回復してくると乾燥肌が改善され、今度はスキンケアの量を減らすように指示されます。この方も毛穴が詰まりやすいタイプなので、顔・胸・背中の上(皮脂が多く分泌される部位)にはセタフィルローションかほとんど無しでも大丈夫になってきました。

がさがさの肌がニキビが出るほど皮脂が戻ってきているのも回復の証拠です。睡眠も良く取れるようになり、不眠症の部分もだいぶ改善されてきました。ニキビは面倒ですが、癖で潰さなければ問題無く治療出来ます。

患者C

長い間上がり下がりを繰り返し、食事療法を行っていたようです。削除法で悪いと思う物は食べずに、根拠も無く経過も変化が無かったようなので途中で中断されています。ロコイド・ステロイド軟膏での治療で、なんとか抑えているが強いトリガーとの接触で又悪化する。

患者自身の理解力が高く、受け入れる姿勢が強いので一番経過が早く、スキンケアもプロ並みに上手です。この患者は私からの視点では”クラシックパターン”で、難化していっている現在の患者と比べ、治療がスムーズに継続しています。治療効果も高く、帰国後の長期安定が期待されます。

今は最後の滞在期間を使ってアクティブの運動や日光に当たったり、ショッピングしたりの指示を受けています。日常生活のケアー練習と日本へ帰国した後の汗ケアーマネージメントの練習です。


私自身ですら、患者の渡米直後の状態を忘れているので、酷かった頃の自分を忘れる方が多いです。去年からのプログラムで、フラッシュドライブを使って、初診からすべての診察時と帰国時のお写真をお渡ししています。それによって回復度などが判りますし、ご家族などにも見せる事が出来ます。同じ患部の写真をドクターが撮るので、経過が判りやすいです。初診の疲れ果てた無表情の顔からツヤのある笑顔の帰国時の写真だけで違いが判ります。


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2015年8月5日水曜日

アトピー新薬・ドゥプリマブ、新情報


やはり最近になってドゥプリマブに対する質問が増えています。このブログを読んでいる方達は正真正銘の新情報が手に入ります。現在治験が行われているクリニック・リジェネロン本社・現在新薬を投与している治験患者からの情報を書いています。


アメリカでの市場発売はすべてスケジュール通りいけば1年と6ヵ月をゴールとしているようです。日本での治験が遅れているので、発売される期日はそれ以上は最低掛かる見込みです。国民保健制度となると、査定が厳しいと思われるので期日はなんとも言えません。バイアグラなど、本当に欲しいお薬は公認が早いようです。女性の避妊ホルモン剤は公認されるまでものすごく時間が掛かったようです。


”ドクターマセソンの治療にドゥプリマブは使いますか?どのような形で治療に組み込むのか?”と私が聞きました。



ドクターからの回答は:”この新薬の安全性・効果はとても良く、患者本人が自宅で注射投与を出来る事もあり、メリットは高いでしょう。但し、スキンケア・感染・トリガー削除と教育・環境を整える事・安全なお薬(塗り薬・痒み止め・抗ヒスタミン)は治療成功に今まで通りに必要です。この新薬を追加として使う事になるでしょう。強いトリガーと接触すると新薬の効果を貫いて炎症が出ている人を良く見ます。
デメリットとしては、コストの問題になります。乾癬の治療に使う生物薬とほぼ同じ構造なので、それらのお薬のコストになる見込みです。大体平均でHumiraやStellara(生物薬)が年間のお薬費用が$25,000.00(300万円ぐらい)なので、合理的に製造出来るようになったとしても$20,000.00は切らないと思います。
但し、アレルギー症状が治まる傾向があるので、これはヨーロッパで実地したドゥプリマブの喘息に対する治験で効果が発揮しているのがデータにあるので、興味深いです。正式にはアレルギーに対する治験として行っていませんが、喘息の治験では患者募集をIgE値がものすごく高い患者をベースに行ったようです。
今まで行って来た治療のブーストとして新薬を使う事が出来るのが現実的な考えだと思う。”

とおっしゃっていました。ドゥプリマブを使う方はアレルギー注射の必要が無くなる可能性があると言う事ですね。

以前の投稿に記入した苦戦する”5%”の方達に一番メリットはあると思われます。現在治験を行っている方達もこの”5%”に入っている患者グループなので市場に出ても同じような使用になると思います。

下手で判りにくい図になりましたが、”5%”の苦戦する方達にブーストとしてドゥプリマブを使う事によって平均の患者達のように皮膚の回復と安定する事が出来ます。
ドゥプリマブ無しでも安定する方達の方が多いと言う事です。


13年後にジェネティック(他の製薬会社が製造)が市場に出ると値崩れし、もっと広く使われるようになるでしょう。

13年と言うのは、アメリカでは10年間はレシピを守れますが、その後公開する必要があります。ジェネティックを製造するのはコストを下げるために政府も治験期間を短くしたりして、3年ほどで市場に出せる事が出来ます。他の製薬会社が小判鮫出来ると言う事です。

値崩れするまでは、特定の患者以外ではコストと比較するとドゥプリマブ無しで安定する方には価値はあまり無いかも知れません。


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