OMC

2010年4月22日木曜日

現在滞在中の患者さん達の進境

現在アトピー性皮膚炎の患者さんが3人と人工授精で出産した患者さんが一人が滞在しています。4人のアポを上手に回るのが少し大変ですがなんとかできています。

アトピーの患者さんの経過が結構スムーズに行っていますが、一人の男性患者の経過が本人が納得していないようです。自分がしたいことがアトピーによってできなくなっている状態です。大体治療を始めてから、それからの6ヶ月は皮膚がきれいになってもやはりまだ肌が弱いので気をつけなくてはいけません。序所にはめを外していくのが良いと思いますが、ちょっときれいになって、又トリガーと接触(アトピーの悪化の要因)の繰り返しではなかなか肌が安定しません。ぐっと、良くしてからですと多少炎症が少し出てもすぐに抑えれます。皮膚が安定すればするほど肌は落ち着いていくようです。英語で”Snoball Effect”と言う言葉がありますが、これは雪だるまのように、悪化が始まるとそこから又引っ掻いて、余計痒くなって、又引っ掻いての繰り返しをまるで雪だるまが坂を転がってどんどん大きくなっていく事のたとえです。逆に皮膚がどんどん安定していくと、逆雪だるまになるわけです。肌が強くなっていって、炎症が起こりにくくなり、痒みが収まっていくともっと炎症が起こりにくくなるようです。ドクターマセソンは”肌は一方通行”とよく言います。良くなるか悪くなるかのどっちかにしか経過はしません。

ここで肌がよくなろうとしているときは出来るだけ刺激を与えない衣類に変えたり、花粉が多いシーズンは窓を閉めて外出を最小限にしたり、ピチピチの衣類を避けてたりします。ここでの違いが一生続けるわけではなく、肌が丈夫になるまで気をつけることです。その人のアトピーの状態によってこの期間は違ってきますが、大体治療終了後は6ヶ月間は気をつけてくださいとアドバイスしています。使う薬の量はどんどん減っていきますし、ケアも楽になっていきます。どうも日本から来る患者さんは弱い薬からどんどん強い薬に変えていってるようで、こちらと逆なようです。

今滞在中の患者さん達も始めはかなりの量の保湿剤を塗らないとすぐに肌が乾燥していたものが、今は塗る量がかなり減っています。一人の女性患者さんは渡米前直前までステロイドの軟膏をほぼ毎日使っていて、やはりこちらでリバウンドの症状がでました。でもお薬でリバウンドの症状を抑えて、治療を進めていったので辛い思いはしなくてよかってです。昔にもリバウンドを起こしていたようなので、二度とあの状態には戻りたくなかったので安心していました。やはりリバウンドを起こさなかった男性患者さんの経過よりは遅いですが、かなり安定してきました。全身が痒かったのが、今は首と体の部分が少し痒い程度です。

男性の患者さんはずっと前にステロイドの軟膏を止めており、一度リバウンドを起こしてそのまま放置状態の患者さんでした。酷い感染が診られ、見かけは女性の患者さんよりもずっと酷く見えました。ですが、抗生物質でバクテリアの数を抑え正しいスキンケアで肌のバリアを保った上、ステロイドの注射で即座に炎症を抑えた結果、リバウンドがなかったため、経過が一番早い状態です。痒みは今の状態ではゼロのようです。このように、症状や前の治療法などで患者さんの経過がぜんぜん違うようです。見かけだでは判断できません。女性の患者さんの場合、ステロイドで炎症を抑えていた状態なので見かけは案外きれいでした。でも、やはり色が少し浅黒いと言うか、普通ではありません。

人工授精の患者さんは先週の日曜日に出産しました。女の子の双子で35週目で産み、一人が1500gでもう一人が1800gでした。やはり小さいので緊急のINCUと言う施設で残りの2週間ほど、そこで育ちます。ただし、INCUはものすごく費用が高く1日一人で$5000(50万)です。双子なので1日$10,000(100万円)です。学生ビザで長期滞在が出来ており、アメリカ国籍なしでもオレゴン州の保険に入れたためこの費用は全額保険がおりるようです。その上、赤ちゃん達がアメリカで生まれたのでアメリカ国籍と自動的にお母さんが入ってる保険も入れるので、費用なしでこれからチェックアップが出来そうです。双子の赤ちゃん達は1/2日本人と1/4イギリスと1/4アメリカ人(たぶんスイス系)の血が入っています。人工授精の時にダウン症の検査も終えた上、一番細胞分裂が良い受精卵を14個の中から選んだので早く生まれたのにかかわらず、元気そうです。

2010年4月17日土曜日

始めに。。

始めまして、今日が始めてのブログ投稿になります。これから序所に今までの治療のお話や現在の患者さんの治療経過などを書いていきたいと思います。

2006年からさまざまな患者さんが渡米して治療にこられました。多くの患者さんがアトピー性皮膚炎の方達でした。重症の症状から軽い症状のアトピーなど、いろいろと違うパターンの方がいます。でも全員の共通点が普通の日常生活を維持し、痒みを無くしたいことです。ほとんどの患者さんが標準治療で皮膚が安定しない後、民間治療や漢方薬を使ったり、食事制限をしたり、その後挫折したりしてます。患者さんがこちらに治療に来る前に書いてもらう問診表にすべて書いてもらいます。

パターンとしては、子供のころにアトピーと診断される->ステロイド軟こうの処方->一時的によくなる->思春期から大人になるにかけ激悪化->ステロイドの強さが上がる->ステロイドが効かなくなる->リバウンドを起こし標準治療が怖くなる->漢方や民間治療を試す->あまり効果なしか多少はましだが改善はみられない->ステロイドに戻るか挫折。

、のアトピー暦が問診表によく見られます。正直言って、僕も日本の医療の状態はアメリカからではぜんぜんわかりません。唯一わかるのがアメリカではアトピーが発症している人をぜんぜん日常に見かけません。というか、僕はポートランドで一人も見たことがありません。たまたまの可能性もありますが、日本へ毎年行くときに電車やバスに乗ると滞在中に必ずアトピーの人を見ます。日本人だけの病気と言うのもおかしいですし、げんにAtopic Dermatitisと言う病名もアメリカには存在します。どうも子供の間に治療し、絶対にリバウンドを起こさせないようにお薬などを処方しているようです。大人になっても、強いステロイドの塗り薬などを使っていなければ炎症が起こっても治療が行いやすいです。正しい知識とスキンケアなどでみんな維持しているようです。

アトピーと言う言葉もこちらではぜんぜん知られていません。”皮膚炎”程度の言葉を使っています。アトピーと言う言葉は日本では違う意味があるようです。日本から来る患者さんのお話などや問診表を読んでいくと、日本での医療の現状が序所にわかってきます。お医者さんを攻めるよりも国レベルの問題になっていくと思います。医療保険システムが最新の治療や新しいお薬の使用などを妨げる形になっているところがあるかもしれません。

癌治療や人工授精なども同じケースが見られます。日本と同じような治療もありますが、やはり患者さんが選べれる治療の数が違います。こちらでは日本人と違って”がまん”をあまりしないカルチャーがあります。その結果、どれだけ患者さんが楽に副作用がなく治療を行うことを重視します。これをQuality of livingといいます。当然”がまん”はどんなカルチャーにも大切ですが、病気の場合は我慢しなくてよいと言うことです。乳がん患者の治療で抗がん治療を行ったとき、患者さんが怖がっていました。お仕事がいけない、常に気分が悪く、体重は減り、ほぼ寝たきり状態が続くのでは。。と。実際手術が終わり、抗がん治療が始まったとき、気分など悪くならずお仕事も普通にできました。髪の毛は落ちましたが幸い坊主が似合う方でした。この患者さんは現在ホルモン治療を継続しています。日本では胸を切り落として、人口の胸を入れることを進められましたが、こちらで手術終了後、胸は切らずにいけました。放射能パルーン法で、癌がある部分のみに放射能を当てて治療をしたので、他の臓器や体へのダメージがなくなるわけです。

こう言う治療が普通だと思っていましたが、日本から来る患者さんはいつもびっくりしています。