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2015年9月29日火曜日

8月~9月チーム、渡米アトピー治療チーム終了

9月チームも無事治療終了しました(1名は居残りとなりましたが、治療前に可能性として相談はしていた方です)。

 (患者様のご要望により修正を加えています)


さよならパーティーは骨付きリブ、厚切りポークチョップ、プレッゼルディナーロール、スモークサーモンディップ、ミニピーマンのBBQ焼き、マッシュポテトとデザートにティラミスケーキを食べました。ワインはオレゴン産のTroon・Druids Fluidと言うブレンド系の赤ワインを出しました。オレゴンはピノ・ノアールが有名ですが、滞在中に個人で購入して飲んでいたようなので日本では飲めないブレンド・赤ワインを選びました。


日本ではオーブンがあまり設置されていないようなので、アメリカならではのオーブン料理を作りました。

(これから食べる前に写真を撮るようにします)

(*手作りではありません)

治験中の患者様も参加して頂き、新薬のお話しや今までのアトピー治療の会話などで盛り上がりました。治験の方も3ヵ月か4ヶ月目の滞在なので、私のワイフと少し英語で会話していたのにびっくりでした。

患者達の変化は当然ですが、親子の変化が私の視点では一番強く見れました。アトピー性皮膚炎がどれだけ家庭内での影響があるかは逆の方向から見ると良く判ります。渡米された時は動揺・パニック・ストレスが明らかに判ります。娘に対する心配、混乱、果てしない治療法のリサーチなどで肉体も精神も疲れ果てているのが言葉にしなくても見れます。

パーティの時はとても明るく、本当に顔が白くなったような気がします。物理的にストレスが影響していたと思います。終盤はシアトルも行き、ショッピングや観光を娘さんと楽しんでいました。正直患者として渡米した娘さんよりもお母さんの方が間接的に治療効果があったような気が。。

もう一人の方は、滞在中に色々なトリガー(悪化の要因)を追求出来、皮膚もかなり安定し、渡米時よりも笑顔が多かったです。我々は精神セラピーのスペシャリストではありませんが、客観的に患者達の変化を1ヵ月間の間に見れます。病気を解決する事によって肩の荷が軽くなり、やっと他事に気を配れるようになるので生活の質はぐんと上がると信じています。帰国時の笑顔が、偽笑顔であっても、渡米時はそれすら出来ていなかったので(口事もものすごく少ない、はい、いいえもあまり言えない人もいる)前向きに治療は進んでいると思います。

ドクターマセソンが最後の診察でみんなに言う事は”このアメリカ治療がアトピー治療の最後ではありませんよ、これは治療の始まりです。帰国してからお仕事や学校、子育てなどが始まり、生活していく上でアトピーをコントロールするのが重要です。これからも何か起こるかも知れませんが、いつも連絡を取り合って、診察が必要な場合は鮮明なお写真を撮って、判らない事があればいつでも聞いて下さいね。”とアドバイスしてくれます。

我々も患者様達が安心して帰国出来るように、会社更生やサポートチームを作って行きました。何層にもある安全網を作り、これがだめならこうしよう、あれがだめならこれを使ってみる、など今までの経験と自信によりプロトコルを作成する事が出来ました。人生、何が起こるか判らないので(妊娠、引っ越し、他の病気、仕事チェンジなど)その都度対処していくのが我々の役目です。

この治療プログラムは一生忘れない経験だと我々は信じています。ブログを読んで下さっている方達、このプログラムを支援して頂いている方達にも心から感謝しております。

8月~9月チームの皆さん、お疲れ様でした。

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2015年9月16日水曜日

8月チーム、渡米アトピー治療経過

現在治療の中盤ですが、スムーズに進行しています。全員理解力も強く、指示もきちんと従いスキンケアもマスターしてきています。

8月~9月にかけて、ポートランドの気候はかなり変動するのでケアーの練習にはとても良いです。暑い日もまだあるので、汗の対処や安全な日焼け止めを試したり、スキンケアの量を調節したりする必要があります。涼しくなるとスキンケアの量が増え、安全な衣類選びなどが重要になります。

中盤になると、ドクターから”滞在中にもっと皮膚をチャレンジしなさい。外へ出て、汗をかいて、少し運動したり、日本でしているようなアクティビティを行ってください。ここで何か起こると練習にもなり、日本で炎症がでてもパニックにならないようにしましょう”と指示されます。今週は家の母と一緒にみんなでシアトルへ行くようです。


患者A
親子で渡米し患者本人は学生さんです。子供の頃からアトピーを患っており、四国の有名なクリニックで治療もされておりお薬に対して恐怖感を抱いていました。このクリニックは2005年~2007年の間でものすごく注目され、我々の治療に参加する70%の方達はそこでの治療トラブルを起こして渡米されていました。最近はあまり聞かなくなったので、久々のケースでした。幸い、リバウンドを起こすぐらいお薬を使用していなかったのと、色素沈着がほぼ無いので、年齢が若いというのもあり、皮膚の色は普通に戻る見込みです。

年齢が若い方が回復力もあり、まだ知識がすんなりと入るのでとても良いタイミングで治療に参加出来たと思います。アトピー年月も浅いので色素沈着の取れ具合なども良いです。女性にとってはとても重要な事だと思います。


患者B
アメリカに住居されている日本人で、長期間に渡ってアトピーを患っています。今までにアメリカ住居・永住されている日本人の方は約10名ほど治療に来られています。アメリカだからと言ってすべての病院が良い訳ではありません。日本特有のアトピー患者はアメリカのドクターでも現状を理解していないとかなり手こずる事になります。

長期間、内服ステロイドを使用していたため(1年以上、毎日)副作用を最小限に抑えるように、ゆっくりとお薬の量を減らしていく段階です。我々もこういうケースはあまり見ないので、慎重に進めています。1ヵ月の治療プランでは終わらない見込みなので、いわゆる”居残り”となりそうです。内服ステロイドの場合、外用剤とは対処が違い、ドクターからは”Different Animal”別物、と判断されています。アトピー以前の問題で、健康面でのダメージが一番心配されております。

現在は良い状態を維持されており、アメリカでの生活も慣れているので他のメンバーからすると頼れる存在となっています。


患者C
子供の頃からアトピーを患っており、成人までに上がり下がりを繰り返しています。数年前に脱ステにより、リバウンドを2回経験されております。日本のアトピー患者履歴を読むと”脱ステ”を良く聞きます。ステロイドをいずれか止めないといけないし、強さも上がる一方で止むを得ず”脱ステ”になってしまう訳ですが、かなり危険な状態になります。サポートもあまり無く、リバウンドを耐えるのは想像を絶する苦しみだと思います。感染も酷くなり、体温も保てないので常に寒い状態(全身火傷と似ている)、気の狂うような痒みに襲われ、希望も失うと思います。

この状態で、医師に対する疑心なども抱き渡米治療されたのは勇気がある方だと思います。現状はまだ少し痒みが部分的に残っていても、不眠症もだいぶ改善され、初日とは比べものにならないぐらい肌も安定し、乾燥もだいぶ治まり、正しい治療の知識も教育出来ています。


後残り1週間で帰国されますが、とても良い流れで治療が進行しています。アレルギー治療も問題無く無事終わり、残りの日はポートランド・シアトルを楽しんで、日本へ帰る準備をする事になります。

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2015年9月9日水曜日

Art of Medicine、感性と技術


アメリカのドクター達とカジュアルに夕食やゴルフなどの時に興味深いお話しを沢山聞きます。仕事の環境から出て、リラックスした時にしか出ない会話など、とても面白いです。

カルチャー、人種の違いですでに治療に対するアプローチが変わります。確かに標準治療、ガイドライン、使えるお薬の種類、医療行為に関する法律などで縛られますが優秀なドクターほど”Art Of Medicine”を良く言います。

例外なケース、困難な病気、”不可能・無理”と言われる患者、に対してArt of Medicineは、未知の世界を辿る事、経験や技術を使って誰もがまだ行っていない治療方針などで新しい治療を編出していく事を言います。医者の技量やパフォーマンスがすべてで、困難なケースをクリアしていき、新たな経験となる事です。

こういう所はアメリカ人が得意な所だと思います。クリエティブな感性とチャレンジ意識が強く、自信があれば怖がらずに治療方針を決め実行する力です。

あてずっぽうに実験するのではなく、技量と自信があってのこそ出来る技です。

我々の治療プログラムをご存じの方達は、アトピー性皮膚炎治療+アレルギー治療と今は普通になっていますが、これも12年ほど前に始まった治療方針です。

(19世紀アートオブメディソン、医療は科学だけではない;感性・技術も必要とする。錠剤や軟膏だけを作るのではなく;命を扱う事であり、それらを理解し方針を決めなければいけない。)


今でもアレルギー治療・減感作などはアトピー性皮膚炎を患っている患者には行えない。と言われています。では、アトピーの患者に対するアレルギー治療は抗ヒスタミン・点眼薬・点鼻薬のみ。血液アレルギー検査RAST(これもアメリカではほとんど使われなくなった。検査結果と患者の症状がまったく一致しないケースが多いので)に出たものも、治療は出来ない。と行き止まり状態になります。

2002年ぐらいにドクターベイカーとドクターマセソンが共同でアトピー患者のためにアレルギー治療を行う方針を取りました。この時に、本当に空気中のアレルギーから皮膚が悪化するのかどうか、ドクターストロー(ドクターマセソンの教授)に空気中アレルゲンのパッチテストを行う実験をしました。スクラッチテストではなく(IgE),遅延型で花粉やダニなど(IgG)を見るのにはパッチテストが必要でした。結果はやはり、IgEだけではなく、花粉・カビ・ダニなど空気中の物にもスクラッチ以外でパッチテストで反応を示しました。

ここで、やはりアレルギー治療はアトピー患者には良いのではないかと決心したようです。アトピー患者はアレルギーを沢山患っているのは大体みんな知っている事だと思います。不思議ではありません。ここで悪化しないようにアレルギー治療を行う方針を取り、濃度や量を調節し、最高濃度まで上げるRUSH治療を2週間で行う事を編出し、今は安全に、かつ効果的にアトピー患者達にアレルギー治療を出来るようになりました。各自のスペシャリストドクター達が知恵と経験を使い、新たな治療法を編出すのがArt Of Medicineだと思います。

数年後にNew England Journal of Medicine(信頼を置ける医療ジャーナル)の記事で”アレルギーイミュノセラピーはアトピー性の患者に効果的かも知れない”と出ていました。”かも”で終わっていますが、同じ考えのドクターもアメリカのどこかにいたと言う事です。


研究・臨床は当然重要ですが、どうしても時間が掛かり、標準治療だけでは治まらない患者も多いです。その方達のためにArt of Medicineが存在し、他の人間を助ける愛情と新しい道を切り開いていくのが我々の役目だと信じています。

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