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2017年10月17日火曜日

アトピー性皮膚炎治療の過去・現在・未来は?

過去のアトピー治療と言えば食事療法や薬草、温泉など、1900年代で主流だった寄生虫退治や瀉血など、病気の実態が判らない頃は手探りで治療法を探していました。
時代と共に医学も発展し、研究も進み、世界的な皮膚科学会なども協力しあって今に至ります。

(ドクターレイクスタインとドクターケンダル、ステロイド開発者、ちょっと悪者っぽい?) 

(コルチコステロイド分子構造)

1944年に二人のドクターがコルチコステロイドを開発し、1950年にはノーベル賞を取りました。この時代でステロイド軟膏を製造するのはとても難しい事であり、1グラム$200.00の値段だったようです(小さな15gチューブの塗り薬が$3000.00になります)。
70年代になると、”ステロイドの使い過ぎで白内障や糖尿になる”と言う恐れがマスコミや一般社会に出回り、魔法のお薬から怖い物に変わりました。
更なる研究や治験などで、浸透性や使用期間などのリスクなども判って行きました。ほとんどのお薬は使い方を誤ると体に害を起こします。麻酔・抗生物質・鎮痛剤・ステロイド、すべてのお薬には危険な使い方はあります。

現在では、副作用が限り無く少なく、更にお薬の効果は過去の物よりも良いと言う研究が進んでいます。1944年にステロイドを開発した時のように、抗体のクローンを使ったお薬、生物薬投与の治療が最先端の治療として広まっています。開発には莫大な資金と時間が掛かり、市場に出るまでには10年ほどの研究と治験が必要になります。
昔のように、最新のお薬を製造するのはとても難しい事であり、すべての生物薬はとても高額です。抗体クローン技術が進歩する事と、製薬会社が研究に投資した資金を取り戻せるまで、時間が掛かります。
但し、ステロイドや抗生物質も治療の一部としてとても重要な役割があり、生物薬だけでは治療成功率が低くなります。ステロイドを使いすぎて”リバウンド”と言う症状が出る場合、生物薬では抑えきれません。上手にステロイドを使って、ステロイドから離脱すると言う方法が一番辛く無く、安全にお薬から離脱出来ます。
スキンケア・感染治療・アレルギーイミュノセラピー、すべて治療成功に繋がる要素です。

(デュピクセントアトピー専用生物薬投与キット、これはご自宅で量も測らずに打てるシステムになっています)

(ここでデュピクセントが産まれました)

未来には生物薬のコストがジェネリック会社の製造によりコストが大幅に下がり、子供用の生物薬も市場に出れば、子供の間にアトピーを治療する事により、成人アトピーの数が更に減ると思われます。今の時点でも、子供の間に正しいスキンケアと適切な治療を行う事により、成人アトピー化を50%減少させれるとデータもあります。
その中にもベルカーブ方式を使うと、生物薬が効かないアトピーも出てきます。その方達用に研究や治験が進み、新たなお薬や治療法が開発されると言うサイクルが続きます。

未来はまだ遠く感じるかも知れませんが、次の世代や今の子供達にとって、アトピーを治療するための素晴らしい武器が一般化される事に希望は持てます。病気に対する正しい知識や適切な治療にさえめぐり逢える事が出来れば、必ず将来性のある人生と生活の質を上げる事が出来ます。

生物薬の研究と製造はSFに近い物があり、下記の図が昔ながらのお薬と生物薬の分子構造の差が判ります。


(アスピリンなどの飲み薬は分子が21個で出来ており、成長ホルモンは~3000個ぐらいの分子、デュプリマブの用な生物薬は2万5千~15万個ぐらいの分子で出来ています。自転車を作るかジェット機を作る違いの差ぐらいです)


我々の役目は、最先端で治療成功率が一番高い方法とそれらを実行するトップの専門医と組んで、いかに合理的に自分の体と人生へ投資出来るかを導いています。ハードルは高く感じますが、1ステップずつ、正しい方向へ進んでいくと必ず希望はあると信じています。



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