OMC

2016年10月8日土曜日

アトピー性皮膚炎、10月2016年チームの治療経過

患者A
渡米前に強度のステロイド軟膏などは使われていなかったのでリバウンドのリスクはありませんでした。炎症もほぼ全身に症状が出ており、落屑や痒みが酷かったようです。アレルギー検査では100点満点のスコアを出し、プリック検査の時点でほぼすべてに強い反応を示していました。喘息も酷く、NiOX(肺の炎症を測る器具)ではものすごく高い数値(~200ぐらい、平均は10~30)が出ていました。渡米前は喘息の発作を毎晩の用に起こしていたようです。

現在、落屑が無くなりスキンケアを始め皮膚の状態が安定してきています。アレルギーラッシュ治療も無事終了し、喘息も夜発作が無く寝れるようになっているようです。痒みもだいぶコントロールできるようになり、私から見た感じでは皮膚のもっちり感が出てきています。顔はニキビが少し出るぐらい皮脂が出てきているので、保湿をあまりしなくても良いとドクターからの指示を受け、プラスティーベースからセタフィルローションへ移行して行っています。状態が良くなるとケアやお薬の量が減っていくので、これも治療の経過として診ます。


患者B
この方も渡米前には強いステロイド軟こうを使っていなかったのでリバウンドをコントロールする必要はありませんでした。但し、日本でリバウンドを起こしてそのまま適格な治療を行っていなかったため、強い炎症が全身に残ったままありとあらゆる治療を試していたようです。この中で一番気になったのが、”脱保湿・脱お風呂”の治療法です。これは問診票でたまに見る治療法で日本で流行っているかも知れませんが、医療根拠があまり無く、アメリカの皮膚科では聞いた事が無い治療のようです。臨床・研究などが行われていない治療法はギャンブルになるので、アメリカでは”アルタネティブ・メディソン”と言い、お祈りやオーラ、気功、食事療法や薬草の部類に入ってしまいます。理論としては、正式な研究が行われていないから効かないとも言えない、と、昔の人たちはこれで良くなっていた、の二つが一番多いです。良い効果があれば、何をしても良いのですが効果が無ければその方にあった正しい治療とは言えません。

炎症のレベルがとても高かった患者様なので、まだ少し痒みは残っているようですが夜も眠れるようになり、生活の質は大幅に上がっているようです。少し運動する事も始め、落屑も無くなり、皮脂が戻って来ているのでスキンケアを調節する時期になりました。アレルギーラッシュも無事終了し、残りの渡米治療期間中は色々とポートランドを楽しんで頂きたいです。アトピーが良くなってから子供を作る話も少し出てきたので、ポジティブな思考になってきている事も治療の経過として診ます。

後、ラッシュが長いので、待ち時間中用のお弁当も作ってくれました!これも良い治療経過の証拠。。?
(ひき肉、ナスと温野菜の赤味噌和え、半熟卵と白ごはんで混ぜて頂きました。ビビンバに似た感じでとても美味しかったです)


お二人とも渡米前はとても不安な気持ちもあり、色々な点で心配事もあったと思います。我々もこの点に関しては理解しております。このアメリカでの治療が最後のチャンスになっている方も決して少なくない事も知っています。この責任感は重く、ドクターマセソン、ドクターベイカー、OMC、AAJ、患者様ご本人も全力を尽くして治療に取り掛かっています。

ポートランドでの治療も始めてから25年目になりますが、それまでに色々な患者様とお会いできる事が出来ました。長いお付き合いのお友達になった患者様もいますし、ポートランドで治療を受けた後にオレゴンへ留学した方達や、家庭を築き上げたり、安心して子供を作ったり、医学部に入って皮膚科に目指したり、仕事に復帰したり、大幅に人生を変える事が出来ました。

アトピー治療プログラムも時代と共に進化していき、来年になるとモノクローン抗体生物薬・ドゥプリマブもアメリカでは春か夏の初め辺りに公認される見込みなので、アトピーに対する新たな武器が増えます(最新のお薬なのでとても高額になりますが)。

アメリカへ治療に行くのには勇気が必要だと思います。一生に一回のチャンスはキャッチ出来る人と見逃す人で別れると思うので、我々の考えでは出来るだけ多くの方達にこのチャンスが存在するという事を広めたいと心から思っています。

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